男嫌いな侍女は女装獣人に溺愛されている
「ガルニール卿に協力して総司令官様を足止めしても、ノージーだけは助かる方法……」

 聞こえてきた言葉に、ノージーは耳を疑った。
 それから「大丈夫、大丈夫」と言い聞かせるような切羽詰まった声が続いて聞こえてくる。

 愛しい少女は涙声で、時折鼻をすする音が聞こえた。
 ノージーの胸に、沸々と怒りが湧いてくる。
 彼女を不幸にしている自分と、彼女を害そうとしているらしいガルニール、その両方に対して、殺意にも似た怒りを覚える。

 ノージーは、震える息を長く吐き出した。
 徐々に頭がスゥッとしてくる。
 あらゆる事柄が頭を巡り、最適解が導き出された。

「よし。ガルニール卿をやっちゃいましょう」

 物騒な言葉を聞いてしまった警備兵たちが、我に返ってノージーを振り返る。

「善は急げと言いますし、今からサクッと済ませちゃいましょう」
< 222 / 264 >

この作品をシェア

pagetop