男嫌いな侍女は女装獣人に溺愛されている
魅惑のイラストを目に入れないように視線を逸らしながら、ピケはメニュー表を返す。
だがそれを、アドリアンが押し止めた。
「ケーキは」
「え?」
アドリアンの口からケーキという単語が出てきたことに驚いて、ピケは呆けた顔で目をぱちくりさせる。
小さく開かれた唇は幼子のようで愛らしく、アドリアンはその口へ甘いものを詰めたらどんな風に笑うのだろうとワクワクしていた。表情の読めない、鉄仮面の下で。
「ケーキはいらないのか?」
女子と言えばケーキだろう。
そう言わんばかりの態度に、ピケはたじろぐ。
グイグイと押し戻されたメニュー表を受け取り、肩を丸めてぎこちなく笑った。
それから、困ったように頰を掻きながら、小さなため息を吐く。
「えっと……お恥ずかしながら、ケーキ代を支払えるかわからなくて。実はこれから、洋服を買いにいくところだったんです。それに、こんな高級なお店、敷居が高くて入ったことがなくて。だから、どれくらいお金が必要なのか、検討もつかないんです」
頰を赤らめて気まずそうに答えるピケに、アドリアンの眉間に皺が寄る。
まさか鉄仮面の下で「かわいい〜!」とキャッキャしているとも知らず、ピケは怒らせてしまっただろうかと身構えた。
だがそれを、アドリアンが押し止めた。
「ケーキは」
「え?」
アドリアンの口からケーキという単語が出てきたことに驚いて、ピケは呆けた顔で目をぱちくりさせる。
小さく開かれた唇は幼子のようで愛らしく、アドリアンはその口へ甘いものを詰めたらどんな風に笑うのだろうとワクワクしていた。表情の読めない、鉄仮面の下で。
「ケーキはいらないのか?」
女子と言えばケーキだろう。
そう言わんばかりの態度に、ピケはたじろぐ。
グイグイと押し戻されたメニュー表を受け取り、肩を丸めてぎこちなく笑った。
それから、困ったように頰を掻きながら、小さなため息を吐く。
「えっと……お恥ずかしながら、ケーキ代を支払えるかわからなくて。実はこれから、洋服を買いにいくところだったんです。それに、こんな高級なお店、敷居が高くて入ったことがなくて。だから、どれくらいお金が必要なのか、検討もつかないんです」
頰を赤らめて気まずそうに答えるピケに、アドリアンの眉間に皺が寄る。
まさか鉄仮面の下で「かわいい〜!」とキャッキャしているとも知らず、ピケは怒らせてしまっただろうかと身構えた。