男嫌いな侍女は女装獣人に溺愛されている
 あれから──ガルニールが捕縛されてから半年がたっていた。
 捕まった当初、彼は取り調べに非協力的だったそうだが、イネスが訪ねると覚悟を決めたのか、滔々(とうとう)と語り出したのだという。
 すべてのことが(つまび)らかにされたのち、彼は投獄された。
 本来ならば終身刑のところが有期懲役になったのは、王太子の結婚による恩赦を受けたためだ。
 現在は牢の中で、心静かに過ごしているらしい。

 ガルニールに協力していた者はすべて、金で雇われた者だった。
 その中に一人、やけに肝が据わった少女がいたらしいが──ピケはあの時のメイドだろうと思っている──総司令部は必死になって彼女の行方を探しているらしい。
 どういうわけか、彼女に恋をした魔獣が保護されたようなのだ。
 呼び出されたノージーは真っ青な顔をして帰ってきたが、一体どんな魔獣が少女に恋をしたのだか。
 いつか会えるかしら、とピケは楽しみだったりする。
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