男嫌いな侍女は女装獣人に溺愛されている
 そんなわけだから、ピケがノージーを愛せるはずがないのだ。
 ノージーにはひどく残酷なことではあるけれど、ピケは彼を人にしてあげることができない。
 たとえ見た目が美女であっても、彼が彼である限り、ピケが恋をすることはないのである。

 だからせめて、彼が言う消滅の時がくるまでは、彼を拾った者としての責任をまっとうしよう。
 そう思っているのだが、見た目はピケ好みの美女なので、つい忘れそうになる。
 しかもノージーは長年一緒に生活してきた家族だけあって、ピケのことをよくわかっていた。

 一緒にいると楽しくて、一緒に眠るとあったかくて、このままが永遠に続けば良いのにと思っている自分がいる。
 そして少しでもお互いが快適に過ごせるように、ピケは出来る限り身嗜みに気をつけていたのだが……。
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