男嫌いな侍女は女装獣人に溺愛されている
二章
1
オレーシャ地方から魔の森を抜け、馬車は一路、ロスティの王都へひた走る。
魔の森より先へ行ったことがなかったピケは、その先にあるロスティ国は一体どんな場所なのだろうと心躍らせていたが、窓の外を流れていく景色はオレーシャと大差なく、残念な気持ちになった。
「この旅の目的地がロスティではなくアルチュールだったのなら、ピケはびっくりしていたでしょうね」
つまらなそうにスンとした表情を浮かべて外を眺めるピケに、イネスは苦笑いしながらそう言った。
「アルチュールは暑く乾燥した地域で、そういった環境に対応するためにさまざまな文化が発展してきたの。日乾レンガでつくられた家は味気なく見えるけれど、それを補うように赤や黄色、橙色といった鮮やかな色の布で飾り付けるから、とても明るい街並みなのよ」
魔の森より先へ行ったことがなかったピケは、その先にあるロスティ国は一体どんな場所なのだろうと心躍らせていたが、窓の外を流れていく景色はオレーシャと大差なく、残念な気持ちになった。
「この旅の目的地がロスティではなくアルチュールだったのなら、ピケはびっくりしていたでしょうね」
つまらなそうにスンとした表情を浮かべて外を眺めるピケに、イネスは苦笑いしながらそう言った。
「アルチュールは暑く乾燥した地域で、そういった環境に対応するためにさまざまな文化が発展してきたの。日乾レンガでつくられた家は味気なく見えるけれど、それを補うように赤や黄色、橙色といった鮮やかな色の布で飾り付けるから、とても明るい街並みなのよ」