男嫌いな侍女は女装獣人に溺愛されている
それから三日ほど移動した頃だろうか。
見渡す限りの草原が田舎町に変わり、洗練された街並みへと移っていく。
窓を覆う布の隙間から目だけを出して、ピケは外を眺めた。
舗装された、広い道。両脇を流れていく建物は丈夫そうな造りをしているが、赤や黄色、青や緑といったカラフルな屋根はかわいらしい。
てっきり、まるで雨が降る直前の空にたちこめた黒い雲のような、重苦しくて冷たい雰囲気が漂っているのだろうと勝手に想像していたピケは、思っていたよりもはるかに洗練された様子の街並みに、声もなく見入った。
「わ、わ〜! 意外と普通なのですね、ロスティの王都は」
「あらあら。ピケは一体、どんなところだと思っていたの?」
「てっきり、要塞みたいな街並みなのかと……」
「国の中心部までガチガチに固めてしまったら、きっと疲れてしまうわよ」
「そういうものなのでしょうか?」
「どうかしら。わたくしは、そう思うのだけれど」
語彙力のないピケはつまらないことしか言えなかったが、イネスは嫌な顔一つしない。それどころか、徐々に気を許して話しかけるようになってきた彼女のことを、楽しげに眺めていた。
見渡す限りの草原が田舎町に変わり、洗練された街並みへと移っていく。
窓を覆う布の隙間から目だけを出して、ピケは外を眺めた。
舗装された、広い道。両脇を流れていく建物は丈夫そうな造りをしているが、赤や黄色、青や緑といったカラフルな屋根はかわいらしい。
てっきり、まるで雨が降る直前の空にたちこめた黒い雲のような、重苦しくて冷たい雰囲気が漂っているのだろうと勝手に想像していたピケは、思っていたよりもはるかに洗練された様子の街並みに、声もなく見入った。
「わ、わ〜! 意外と普通なのですね、ロスティの王都は」
「あらあら。ピケは一体、どんなところだと思っていたの?」
「てっきり、要塞みたいな街並みなのかと……」
「国の中心部までガチガチに固めてしまったら、きっと疲れてしまうわよ」
「そういうものなのでしょうか?」
「どうかしら。わたくしは、そう思うのだけれど」
語彙力のないピケはつまらないことしか言えなかったが、イネスは嫌な顔一つしない。それどころか、徐々に気を許して話しかけるようになってきた彼女のことを、楽しげに眺めていた。