男嫌いな侍女は女装獣人に溺愛されている
国王の前までまっすぐに進むと、イネスは恭しく頭を垂れる。
そんな彼女に、国王はくしゃりと破顔して微笑みかけた。もとより威厳などあまり感じられない人だったが、笑うとますます凡人に見える。
「よく来たな。長旅で疲れただろう? イネス王女」
話す声は穏やかで、ピケは父を思い出す。
(父さんは、ちゃんと弔ってもらえたかしら?)
チクンと痛む胸を押さえて、彼女はイネスに倣って頭を垂れた。
「いえ……馬車の用意までしていただき、ありがとうございます」
「馬車は気に入ったか? あなたに気に入ってもらいたくて、キーラが一生懸命選んでいた」
「まぁ、そうだったのですか。それは……ありがとうございます、キーラ様」
イネスが微笑みかけると、ボヒュン! と音がしそうなくらい一瞬でキリルの顔が真っ赤に染まった。
純情な息子の様子に、国王がカラカラと笑う。
「さっそく仲良くしているようで、良いことだ」
周囲に生温かい空気が流れる。
キリルとイネス、二人の間から流れ出る甘い雰囲気に、国王は満足げに頷いた。
と、その時である。
そんな彼女に、国王はくしゃりと破顔して微笑みかけた。もとより威厳などあまり感じられない人だったが、笑うとますます凡人に見える。
「よく来たな。長旅で疲れただろう? イネス王女」
話す声は穏やかで、ピケは父を思い出す。
(父さんは、ちゃんと弔ってもらえたかしら?)
チクンと痛む胸を押さえて、彼女はイネスに倣って頭を垂れた。
「いえ……馬車の用意までしていただき、ありがとうございます」
「馬車は気に入ったか? あなたに気に入ってもらいたくて、キーラが一生懸命選んでいた」
「まぁ、そうだったのですか。それは……ありがとうございます、キーラ様」
イネスが微笑みかけると、ボヒュン! と音がしそうなくらい一瞬でキリルの顔が真っ赤に染まった。
純情な息子の様子に、国王がカラカラと笑う。
「さっそく仲良くしているようで、良いことだ」
周囲に生温かい空気が流れる。
キリルとイネス、二人の間から流れ出る甘い雰囲気に、国王は満足げに頷いた。
と、その時である。