男嫌いな侍女は女装獣人に溺愛されている
 イネスの口から獣人という言葉が出ても、ノージーは焦りもしない。
 それもそのはず。ノージーはすでに、イネスに自身が獣人であること、恋の相手がピケであることを告白しているのだ。

 まだ広く知られていないことではあるが、ロスティでは魔獣や獣人を保護している。
 恋が実れば獣人の力を有した最強の人が生まれるとあって、強さこそ正義というお国柄であるロスティが放っておくわけがない。
 元王族の魔獣研究者、マルグレーテ・クララベルを中心に、王族や総司令部を巻き込んで活動しているらしい。

 王族に加わる予定のイネスもその活動を担うことになっているため、王太子妃レッスンの中に魔獣についての勉強も含まれている。
 だからノージーは、イネスが魔獣についての勉強を始めてすぐに、自身が獣人であることを告げたのだ。
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