男嫌いな侍女は女装獣人に溺愛されている
 続いて、ノージーはカーテンを開いた。
 窓から見えたのは雲ひとつない青空で、これなら確かに出かけないと損をするような気になるだろう。
 ベッドを振り返って見てみると、ピケも同じことを思ったのか、空をぼんやりと見上げている。
 だけど彼女はすぐにまぶたを落としてしまった。

「さむい……まだ秋になりたてなのに、もう冬みたい……こんなにさむいのにまだ秋だなんて、うそじゃないの? 冬になったらどうなっちゃうのかしら」

 つぶやきはまるで寝言を言っているように判然としない。
 しかし、ノージーにはしっかりと聞き取れていたようだ。
「仕方のない人ですね」と苦笑いを浮かべながら、彼は再びベッドのそばへ戻った。

 もぞもぞと、熱源を探してピケがベッドの上を転がる。
 ちょうどよくベッド横に戻ってきていたノージーにぶつかり、ピケは寝転がったままぴったりと彼に抱きついた。
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