今日からニセモノお姫様!
「桜野 鈴音さんですね」
「はい。そうですが」
執事の男に何故か私であることを確認をされ、不思議に思いながらも私は首を縦に動かす。
何で私の名前を知っているの?
え、本当に何で?
「…」
訳がわからないままの私を無言で男はマジマジと、それはもう頭から爪先まで見つめるので不思議な思いからだんだん不審な思いを抱く。
「な、なんですか」
「やはりアナタしかいないようです」
「はい?」
勇気を出しておずおずと聞くと男から淡々と訳のわからない返事が返ってきた。
会話が全く噛み合ってないことだけはわかるぞ。
「…」
とりあえず誰かに連絡だ。
そう思って制服のポケットに手を入れ、スマホを取り出そうとした。
したのだが。
「んぐっ!?」
いつの間にか私に触れられる距離まで来ていた男が白いハンカチのようなもので私の鼻と口を素早く覆った為それは叶わなかった。