今日からニセモノお姫様!
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そして冒頭に戻る。
目の前のこの男、不審者執事によって連れて来られたのは冒頭でも触れたが豪華絢爛なお城のような立派な家だった。
私はその家の数ある内の一室にいる。
何時間かわからないが長い時間彼と車に揺られていた為この部屋のこの豪華なソファに腰を降ろさせられる頃には私の体も自由が効くようになっていた。
だから私は普通に椅子に座っているし、目の前でソファには座らず何故かソファの横に礼儀正しく立っている不審者執事とも今は会話が可能な状態になっている。
はい。とりあえず振り返ってみたけどやっぱり何から聞けばいいかわからないよ。
ここどこよ。アナタ誰よ。何でそんな格好してるの。さっき私の体に何したのよ。何でそんなとこ突っ立ってるの。華宮家の華宮乙女様って誰よ。何で私がその乙女様にならないといけないのよ。
ぱ、と頭に浮かべただけでもこんなにもある疑問。どれも聞きたいことだが目の前のこの不審者執事はそれら全てに答えてくれるのだろうか。
「…あの今の状況をきちんと説明してくれません?」
考えて考えてやっと出た答えはこれ。困り果てた顔で不審者執事を見る。
「まぁ、そうなりますよね。もちろん説明致します」
すると不審者執事は無表情ながらもそう言って頷き、今の状況の説明を始めた。
「ここは日本を代表する由緒正しき名家、華宮家の別邸、通称楽園と呼ばれる乙女様専用の屋敷です。乙女様とは華宮家たった1人のご令嬢です。何故アナタをここへ連れて来たかと言いますと、その乙女様がたった今家出中により行方不明の為乙女様の身代わりにアナタはなって頂きたい、と考えたからです」
「はぁ」
それはもう流れるような美しい説明に私はただ困惑の声をあげる。
世界が違いすぎる。ある意味ファンタジー。