今日からニセモノお姫様!
めんどくさそうだし、自分に何のメリットがあると言うのだろう。
おまけにあんな形で拉致までしてるのだ。
誰が引き受けるかこんなこと!
「いや、無…」
そう思ってすぐに断ってやろうとした。
したのだが。
「報酬は弾みますよ」
「よろしくお願いします」
そんな私のことを察したのか素早くそう言った不審者執事の言葉に私はキリッとした顔で頷いた。
条件反射!でもお金のこと言われたら誰だって弱いよね!?
「ではこちらの契約書にサインを」
「はい」
目の前にある机にどこに持ってたのって感じで手際良く契約書と呼ばれる紙と高そうなペンが置かれる。
さすがお金持ち。なんだかちゃんとしている。報酬もあるし、時給の良いバイトみたいなものだろうか。
契約書にはびっしり難しそうな言葉で何か書いてあるが読む気にはならず、私は読んだふりをしてさらさら〜と自分の名前を書いた。
「それで身代わりって一体何をすればいいんですか?」
書き終えた契約書を不審者執事に渡し、バイトの内容について聞いてみる。
私の予想では由緒正しいご令嬢の身代わりな訳だからそれはもうお淑やかで可憐でただただ微笑んでちょっとだけかしこまった話方をするみたいな感じだと思っている。
人前に出る時とかに呼ばれて。
慣れていないのでちょっと大変そうだが数時間で素敵な報酬が発生するなら悪くはない。
お金はいくらあってもいいからね。