DEAR again〜アイスクリスタルのやくそく
 男の子も、神父さんに挨拶して、みんなと一緒に賛美歌の練習をしました。そして練習が終わった帰り道、男の子は友達と一緒に、不思議な女の子がいた広場に戻ってきました。でも、さっきの女の子はどこにもいません。落し物を見つけて帰ってしまったのでしょうか。

 男の子はちょっとがっかりしました。また、会えると思っていたからです。その時、声が聞こえました。

"まだここにいるの。でもいっぱい人がいると恥ずかしいから"

 でも周りを見回しても誰もいません。男の子は一緒にいる友達に「今の声聞いた?」とたずねましたが、友達には何も聞こえなかったようです。

 ぼくにしか聞こえないんだ、と男の子は思いました。ぼくだけなら出てきてくれるかな。

 男の子は友達とそこで別れてひとりになりました。

「もうだいじょうぶだよ。みんな帰ったから」

 そう呼びかけると、男の子の目の前に、銀色の髪をした女の子が現れました。男の子はびっくりして「どこに隠れていたの?」と聞きましたが、女の子は恥ずかしそうに笑うだけ。

 さっきは急いでいたので気づきませんでしたが、近くで見るととてもかわいらしい子です。
< 12 / 24 >

この作品をシェア

pagetop