【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜
【偽り夫婦の誕生】





 「新郎、あなたはやめるときも、すこやかなるときも。新婦聖良(きよら)を愛しぬくことを誓いますか?」
  
 「はい。誓います」

 「新婦、あなたはやめるときも、すこやかなるときも。新郎棗(なつめ)を愛しぬくことを誓いますか?」

 「……はい。誓います」

 「それでは、誓いのキスを」

 「「はい」」  

 タキシード姿の彼が、目の前でヴェールを取り、顔を近付けていく。そしてわたしたちの家族、棗さんの家族、会社の人たち。みんなの前で永遠の愛を誓った。

 だけどこの結婚式でお互いに誓ったこの愛は。……そこには愛なんて存在しない。偽りだらけでウソばかりを重ねている。








 そう、わたしたちの結婚は、偽りなのだ。ウソがにじみ出た、偽りの結婚。
 偽りの夫婦を、わたしたちは演じているのだ。

 全然、幸せな結婚なんかではない。
 じゃあなんで、こんなことになったのか……?

 
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