【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜
【夫婦としてのあり方Side棗】




 「……聖良、行ってくる」

 「行ってらっしゃい。棗さん」

 俺の妻、鷺ノ宮聖良。結婚してからもう間もなく4ヶ月になる。俺と聖良は恋愛結婚ではない。俺から聖良に、結婚しないか?そう提案して、聖良がそれを受け入れる形で結婚した。

 最初結婚した時は、お互いそこに愛なんてなかった。……はずだった。はずだったんだ。

 だけど俺はいつしか、聖良のことを好きになっていた。……結婚したとはいえ、愛はなかった。だから偽りの愛だと思っていた……。

 俺が聖良に結婚を申し出たのは、政略結婚させられそうだったからだった。鷺ノ宮グループと親しくしている花村製薬の御令嬢と結婚させられそうになったからだ。

 お見合いするくらいなら結婚相手を探してやろうと思った。そしてちょうどその頃、鷺ノ宮グループが買収したホテルがあり、そこのコンシェルジュが解雇されるというのを知った。

 だからこそ、そこで結婚する相手を探せば誰かいるかもと思い、ついに探し出した。




 
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