【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜
【わたしはあなたの妻です】




 「……聖良、これ受け取ってくれないか?」

 「え?……なんですか、これ?」

 結婚して半年の記念日の日に。突然棗さんは、わたしに小さな袋を渡してくれた。

 「聖良へ、俺からの感謝の気持ちだ」

 「え?か、感謝……?」

 なぜ感謝されるのだろう……?わたしはただ、妻として当たり前のことをしているだけなのに……。特別感謝されるようなことは、何もないはず。
 
 「ああ。今日は俺たちが結婚して半年の記念日だからな。……聖良、結婚してから今日まで、お前に感謝しかない。俺と結婚してくれて、ありがとう。いつも家事をやってくれて、ありがとう」

 「な、棗……さん……」
 
 棗さんに、こんなに感謝されるなんて……。今まで感じたことはなかった。だけどその気持ちを聞けて、正直に言うと嬉しかった。

 結婚してから初めて迎えた半年の記念日。そうか、結婚してもう半年になるんだな……。もうそんなに経つなんて、時間の流れは早いものだなぁ。

 

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