【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜
「愛しているよ、聖良。これからもずっと、俺は君だけを愛している。だからずっと、俺の妻として、俺のそばにいてくれ」
棗さんは真剣な眼差しでそう言うと、その小さな袋からネックレスとイヤリングを取り出した。
「……え?」
「俺から君への、プレゼントだ。受け取ってくれるだろ?」
「……いいん、ですか?」
「当たり前だ。君に似合うと思って買ったんだ。付けてくれるだろ?」
棗さんのその優しい声と、その優しい笑顔。そしてその表情。……全てがわたしのためにと言ってくれているようだった。
「……はい。ありがとうございます」
そんなわたしは、棗さんに何も用意していない。用意していないのに、わたしだけもらうのは申し訳ない。
「貸してみろ。俺が付けてやる」
「……あ、ありがとう、ございます」
棗さんはネックレスを後ろから付けてくれた。そしてイヤリングも、鏡を見て付けてみた。
「うわっ、可愛い……」
「やっぱりキレイだ。すごく似合っているよ」