【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜
棗さんはずっと手を握ってくれていた。その温かい手を握るだけで、少しだけホッとする。
「長谷川社長。本日僕たち夫婦も呼んでいただき、ありがとうございます」
棗さんが長谷川社長にそう挨拶をした。そしたら長谷川社長は、笑顔で「やぁ、棗くん。よく来てくれたね?」と言って笑っていた。
「紹介します。妻の聖良です」
「君が聖良さんか。はじめまして、長谷川です。今日は来てくれてありがとう」
「い、いえ!こちらこそ。本日はお招きいただき、ありがとうございます」
わたしは長谷川社長と握手を交わした。
「ふたりとも、今日は楽しんでいってくれ」
「はい。ありがとうございます」
「あ、ありがとうございます……」
長谷川社長はわたしたちにそう言ってから、他の方の所へと行った。
「……聖良、食事でも食べようか」
「え?……あ、はい」
棗さんに手を引かれて、ビュッフェコーナーへと歩いていく。そこには美味しそうな料理の数々が並んでいた。