【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜



 わたしも彼のことをほんの少ししかまだ知らない。あの結婚式の時、彼はわたしと永遠の愛を誓いあった。だけどそんな偽りの愛が長く持つなんて、到底思えない。

 だってわたしたちは所詮、偽りの夫婦なのだ。そんな簡単に夫婦生活がうまく行くと思えない。

 そう思ってるのはきっと、わたしだけじゃない。彼もきっと同じだ。

 「……聖良?どうした?風呂、入らないのか?」

 「いえ。お風呂入ってきます」
 
 わたしは着替えを持ってお風呂場に行った。服を脱いでシャワーを浴びて湯船に浸かると、とても気持ち良くて。
 
 この大きなお風呂に入っている時だけはすごく癒やされた。入浴剤を入れていいニオイのお風呂に入る時が、今一番の幸せだ。

 正直、あの人の妻になるなんて、わたしには荷が重過ぎる。……だけど妻になった以上、わたしはあの人のことを愛していかなければならない気がしていた。

 いつかあの人のことを、わたしは本気で愛していくのだろうか……。そんな日が、くるのだろうか……。


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