【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜



  
 「そう言ってもらえて、俺も嬉しいよ。……俺も聖良が妻でよかったと、本気で思ってる」

 「……はい」

 わたしはもうとっくに気付いている。……この胸の思いに。この気持ちの正体に……。

 わたしは棗さんのことが好きなんだ……。彼のことを夫として、一人の男性として、生涯を共にするパートナーとして。

 彼のことを愛しているんだ……。

 いつからかわたしは、彼のことを好きになっていたんだ……。

 「……聖良?どうした?」

 「棗さん、わたし……」

 「どうした?体調でも悪いか?」

 「……い、いえ。なんでも、ないです」

 「そうか?」
 
 「……はい。ちょっと疲れてしまっただけです」

 「色々あったからな。……ゆっくり休むといい」

 棗さんはそう言うと、優しく頭を撫でてくれた。その心地よい優しさが胸に響いて、いつの間にかわたしは、こんなにも棗さんのことが好きになっていたんだな……。本当にそう思った。

 

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