【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜
それはわたしの本心。誰に何を言われても、その気持ちを変えるつもりはない。
「……分かっている。だから、俺との子供を作りたいと言ってくれるまで、俺は待つつもりだ。聖良がちゃんと俺と゛家族゛になりたいと思ってくれるまで、いくらでも待つ」
「棗さん……」
棗さんは怒ることも呆れることもなく、わたしの気持ちを理解してくれたのようにそう言うと、わたしの手を握ってくれた。
「……聖良、こんな話をしてすまない。だけど聖良には俺の気持ちを聞いてほしかったんだ。俺たちがこれからどんな風に生きていくのかを決めていくためにも」
「……はい。棗さんにとってはもしかしたら、辛いことだと思います。だけど、話してくれてありがとうございます。嬉しかったです。……これで棗さんとまた、夫婦としての距離が縮まった気がしました」
棗さんとわたしは、愛のない結婚をした。だけど今はこうして、夫婦として歩んでいる。一生懸命生きていこうと努力を積み重ねている。