【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜


  

 「……聖良、どうした?何で泣いてるんだ?」
 
 分からないけど、涙が止まらない。どうしてなのか、分からない……。

 「おい。大丈夫か、聖良?」 

 「……棗さん!」
  
 涙を拭って、棗さんに抱きついた。棗さんは驚いたような顔をしていた。

 「ど、どうした?聖良……?」

 「棗さん、わたし……。自信がないです」

 「え?」

 「棗さんの妻でいる自信が、ないんです……。わたしみたいな平凡な女が、棗さんのような御曹司と結婚しても、きっと幸せになれないんじゃないかって……。ずっとそう思ってました」

 わたしは、棗さんに今までの想いや気持ちを全部伝えることにした。これから夫婦として生きていくために、ちゃんと包み隠さずに話そう。そう思った。

 「……聖良」
 
棗さんはそんなわたしを労るように、ギュッと抱きしめてくれた。

 「棗さん、こんな妻でごめんなさい……。わたしはあなたの妻に相応しくなんてありません……。だけど……」



 
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