【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜
「やっ、んっ……」
棗さんの鼓動が、その瞳が、その表情が、その体温が。わたしの体の中の体温を上げていく。もう棗さんに抱かれるのがこんなにも愛おしいんだなと、思うんだなって思った。
「……はぁっ」
棗さんがわたしの胸や首筋に唇を這わせていく。そしてわたしの入口が充分すぎるほど濡れたのを確認した棗さんは。
「あぁっ……はぁっ、んっ」
その欲望をぶつけるかのようにわたしの中を貫いてきた。その欲望をぶつけられるたびに、わたしは甘く激しくベッドの中で乱れてしまう。
棗さんが両手を握ってくれると、安心する。そうしてわたしはいつの間にか、棗さんの虜になっているんだな……。
「な、つめ……さん……」
「聖良……。愛してる……」
「あっ……っ、んんっ」
棗さんのその体温に溶かされながら、わたしはその日棗さんに抱かれた。想いが通じ合って初めて気付いた。好きな人に抱かれるって、こんなにも幸せなんだな……。
そう思うだけで、心がいっぱいだった。