【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜
親父が昔雇った運転手だが、運転手としてはかなり有能で。親父が気に入るのも分かる。
もともと笹山は、勤めていた会社が潰れてしまって途方に暮れて困っていた所を、親父が手を差し伸べてくれたのだと笹山は言っていた。そこで運転手をしないか?と持ち掛けて、笹山は今こうして鷺ノ宮家の運転手をしている。
「……笹山、今日はなんでまた迎えなんだ。何かあったのか?」
俺は笹山の背中を見つめながらそう言うと、笹山は静かに口を開いた。
「実は社長が、棗さんにお話したいことがあるそうなんです」
「話?それはなんだ?」
「そこまでは、わたしにも分かりません。……ですがおそらく、今後の鷺ノ宮家の将来に関わることだとわたしは思っています」
「……鷺ノ宮家の将来?」
どういう意味だ?それは……。言っていることが何なのか分からないが、おそらくそれは鷺ノ宮家が大きく関わっていることなんだと推測はついた。
その大きな何かが、何なのか……。