【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜
「……親父」
親父の言葉が、想いが。胸に響く。
「棗、これからはお前が、鷺ノ宮家を引っ張っていってくれ。……お前が社長となり、鷺ノ宮グループを守ってくれ」
「……俺なんかで、いいのか?」
正直に言うと、自信がない。ある訳ない。……だけど親父の息子として、跡継ぎとして。俺は鷺ノ宮グループを引っ張る者として、親父の期待を裏切る訳にはいかない……。
「お前は俺の息子だ。……お前なら出来るさ。お前ならきっと……。この会社を変えられると、わたしは信じている」
「……分かった。俺が、鷺ノ宮グループの社長になる。親父が誇りとプライドを持って守ってきたこの鷺ノ宮グループを、俺が引き継ぐよ。……親父の名に恥じないように、一生懸命頑張るよ」
親父の想いを受け取った今、この決意は揺るがない。俺が守ってみせる。……親父が守ってきたこの会社を、俺が守り抜いてみせる。必ず。
「……期待しているぞ、棗」
「……はい」