【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜




 「……親父、俺からも約束してほしいことがある」

 「いいだろう。なんだ?」

 「……絶対に、死ぬな」

 「……棗」

 「絶対に死ぬな。……俺が親父みたいな立派な社長になるその日まで、絶対に生きろ。親父みたいになれるかは分からない。だけど親父にちゃんと認めてもらえるように、俺は頑張るつもりだから」

 それに親父とはまだ話せてないこともたくさんあるんだ。だから絶対に死ぬなんて、俺がまだ許さない。……そしていつか、俺たちに子供が生まれたら、一番に親父に見せてやるんだ。

 俺が親になった時、親父がどんな思いで俺を育ててくれたのか。どんな思いで俺に厳しくしてきたのか。全部知りたいんだ。

 死ぬならそれからにしてくれ、頼むから……。俺たち夫婦は、まだ親父に恩返しが出来ていない。恩返し出来るまで、生きててもらわないと困るんだよ……。

 「……知らない間に成長したな、棗。お前もこんなに、大きくなったんだな……」

 「そうだよ、親父」



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