【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜



 「……ありがとうな、棗」
 
 「それより親父。いつ、手術するんだ?」
 
 「1週間後だ。……しばらくはガンの治療で入院したいとならない。いつまで入院するのかも、まだ分からない」

 「……そうか。手術、頑張れよ」

 「ああ。……解任届は倫理でもう受理された。明後日にはもう、社長じゃなくなる」

 「……親父」

 「これからは棗が、責任を追う番だぞ?……慣れないうちは大変だと思うし、疲れると思う。会社のことを考えるって、すごく大変で、きっとこの先苦しくもなるだろう。……だけどそんな時は、いつもお前の隣にいる聖良さんを思い出すといい。聖良さんはきっと、お前の支えになってくれるハズだ。……何か迷うことがあったら、躓いて立ち止まることがあったら、聖良さんの顔を思い浮かべるといい。そうすれば、気持ちも軽くなるし、モチベーションも上がる」

 「……はい。分かりました。ありがとうございます」

 俺は社長のため、会社のため、跡を継いで社長になることを決めた。



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