【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜
「……ありがとう。とても心強いよ」
「はい。……わたしは、棗さんの妻として相応しいかどうかは分かりません。だけど、棗さんの妻として、一生懸命支えていくつもりです。まぁあまり役に立たないとは思いますけどね」
聖良はそう言うと、ちょっとだけ笑った。
「そんなことない。お前がそばにいてくれるだけで、安心するんだ」
聖良のことを愛している。こんなにも人を愛したことなんて、一度もなかった。だからこそ、今の俺には聖良だけが俺の支えなんだ。
聖良がいるから。聖良のために頑張りたいと初めてそう思える。今までよりもずっと、その気持ちが強い。
「……はい。ありがとうございます」
「社長になったらこれからきっと忙しくなると思うが、なるべく家で食事をとることを心がけるつもりだ。……聖良にももしかしたら、社長夫人として、色々と出てもらうこともあるだろう」
「……はい」
「明後日に俺の社長就任の会見がある。それにも付いてきてくれ」
「はい。分かりました」