【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜
「……親父、また来る。ちゃんと検査受けろよ?」
「分かっている。お前も仕事サボるなよ」
「そんなことする訳無いだろ?俺は社長なんだ」
「そうか。頑張れよ、棗」
「……ああ。親父も、頑張れよ」
「ああ」
そんな会話をして、わたしたちは病室を出て家に帰った。新社長として、仕事に誠意を持っている棗さんは、とてもカッコイイと思った。仕事にも真剣に向き合い、自分がこれからどうしていきたいのか、ちゃんと考えている。
……社長としての自覚を持てている証拠なんだなと、そんな姿を見て思った。そしてわたしは、棗さんのサポートをする妻として、一生懸命頑張ろうと思った。
「……あの、棗さん」
「ん?どうした聖良?」
「わたし、これからも棗さんのそばで、棗さんのサポートしていきたいんです。……だから、わたしを棗さんの秘書にしてもらえませんか?」
社長に就任した以上、これから棗さんが忙しくなるのは分かっている。