【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜
「……聖良」
「それにわたしは、元コンシェルジュです。これから海外進出に向けて色々な事業を拡大していくのなら、英語が話せる人が必要ですよね?……わたしなら、今までの経験を存分に生かして棗さんの秘書として、働ける自信がありますよ?……それに他のどこかの秘書なんかより、あなたのことを知り尽くしていますし?」
これで断られる可能性だってある。だけどそれでも、棗さんの妻として今までそばで見てきたからこその、決断でもあった。
「……なるほどな。聖良にしてはいいアイデアだな?」
「そうですよね?」
「……確かにちょうど今、優秀な秘書を探そうと思っていた所だったからな?ちょうどいい。聖良が秘書になってくれるのなら、秘書を探す手間が省ける。……それに、聖良に悪い虫が付かなくて済むから、一石二鳥かもしれないな?」
「悪い虫……?」
「そうだ。聖良に近寄るバカな男がいたら、守ってやれるしな?」
「……それはいいアイデアですね?」
「そうだろ?」
「はい」