【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜
そしてその後すぐに、お父様はオペ室に運ばれた。そして11時の時間を少し過ぎた頃、お父様の手術が始まった。
ずっとそばに付いていてあげたいと思っていたけれど……。この後も仕事があるので、それはムリだと判断して。手術が終わる頃に、わたしたちはもう一度顔を出すことに決めた。
その後は会社へと戻り、棗さんは取引先の社長とリモートでの打ち合わせをしていた。わたしはその間、秘書室で打ち合わせ内容の確認や、明日のスケジュールを確認していた。
リモートでの打ち合わせが終わる頃、社長室に行くと棗さんはすでに打ち合わせを終わらせていたようで、窓から外を眺めていた。
「……もうこんな時間なんだな」
「え?……あ、そうですね」
ふと時計を見ると午後2時半を過ぎていた。そういえばまだ、ふたりともお昼ご飯を食べていなかった。
「……そういえばまだ、お昼ご飯、食べてなかったですね?」
「そうだな。何か食べに行こうか」
「はい」