【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜
「……そんなことない。俺も今日はとても、必死だった」
「そうなん、ですか?」
「ああ。だけど親父の手術が成功すると信じていたから、俺は今日頑張れた。……それだって今日、こうやって頑張れたのは、聖良お前のおかげだよ」
棗さんはそう言うと、わたしを優しく抱きしめてくれた。そして頭を撫でてくれた。
「……棗さん」
「愛しているよ、聖良」
「……はい。わたしもです」
棗さんがわたしを思ってくれているように、わたしだって棗さんのことを本気で思っている。
「さ、家に帰ろうか?聖良」
「はい。……美味しいご飯、作りますね?」
「ああ。楽しみにしている」
「はい。……今日はカレーにしようと思いますが、大丈夫ですか?」
「ああ。聖良の作るカレー好きだから、全然いいさ」
「ありがとうございます」
家に帰ると、早速わたしは夕飯を作りを始めた。棗さんはいつも美味しいと食べてくれるから、作る度に嬉しくなる。