【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜
「うん。美味い」
「本当に?良かったです」
よっぽどお腹が空いてるのか、カレーを美味しそうに食べていた。その美味しそうに食べる表情を見て、わたしまで嬉しくなる。
「ゲホゲホ……」
棗さんは勢い良く食べすきたのか、むせてしまっていた。
「大丈夫ですか?棗さん?」
「ああ、大丈夫だ……。すまない」
「もっとゆっくり食べて大丈夫ですよ?カレーは逃げませんから」
「ああ……。がっつきすぎたな」
「そうですね。お水、もっと飲みますか?」
「ああ……」
わたしは棗さんに水を渡した。水を飲む姿の棗さんも、カッコイイ。……だけどそんな棗さんを見ると、幸せだなと思うし、こんな棗さんの姿を見れるのはわたしだけ。
だからこそ、この幸せをずっと感じていたい。棗さんとふたりで幸せになって、いつかお父様に子供の顔を見せられる時が来るといいなって思った。
それまでお父様が、生きていてくれるといいなと思った。