【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜



 
 「そうか。何かほしいものができたら、遠慮なく言ってくれ」

 「あ、はい……。分かりました」

 「それと、記念日にレストランを予約してある。一緒に食事をしよう」

 「え?」
 
 棗さんが、レストランを予約してくれてるの……?記念日だから?

 「せっかくの記念日だ。ふたりで楽しもう」

 「……はい。ありがとうございます」

 わたしは棗さんと結婚してから、色々なことが変わった。結婚して幸せだったか分からなかったけど、今は本当に幸せだと思う。

 正直に言うと。わたしは棗さんと結婚しても、棗さんとは分かり合える気がしなかった。……鷺ノ宮棗の妻としてやっていける自信がないって、ずっと思っていた。好きで結婚した訳じゃないから、分かり合えるとは思っていなかったけど……。

 このままこの先、ちゃんとした夫婦になれるとも思っていなかった。棗さんだってわたしのことを、本気で愛しているなんて、結婚したばかりの時は思ってもいなかった。



< 177 / 264 >

この作品をシェア

pagetop