【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜
「……それも、リスクが高いってことですか?」
「正直に言うと……そうですね。かなり難しい手術になります。リスクも高いですし、患者さんにとっても負担が大きく、ご年齢的に見ても、かなり高くなります」
「……そうですか」
お父様の年齢と、手術や治療のリスクがかなり高くなることを考えると……。そう考えると、わたしたちは何も出来ないんだなって思って。さらに悲しくなり、心が不安になる。
「……ご家族でよく話し合って、考えてください」
先生はそう言うと、病室から静かに出ていった。わたしたちは何も言えないまま、静かな時間だけが病室に流れていった。
「……棗さん……」
「……余命2ヶ月、か……。残酷な現実だな」
棗さんはお父様の手を握りながら、掠れた声でそう言った。
「……はい。残酷です。わたしたちには、何も出来ないのでしょうか?」
「……医者も、やれることには限界があると言っていた。どうすればいいのか、分からない……」