【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜




 それから1週間後、お父様が病室で静かに息を引き取ったとの連絡が入った。……深い悲しみに打ちひしがれながら、棗さんは呆然としていた。

 わたしは棗さんに掛ける言葉もなくて……。気が付いたら、あっという間に葬儀も終わっていた。お父様が亡くなったことはTVでも報道されていた。
 
 これから棗さんは、お父様の分まで頑張るんだと言っていた。だからこそわたしは、これから社長としてもっと頑張りたいという棗のために、一生懸命サポートしていきたいとも思った。

 きっとこれから先だって、大変だと思うし、なかなかうまく行かないことだってあると思う。……だけどそんな中でも、わたしが鷺ノ宮棗の妻として、棗さんのそばにいて安心してもらえたら。ううん、安心できる場所にするのが、わたしの役目だと思っている。

 棗さんが安心できると思ってくれたら、わたしはそれが一番嬉しい。だからこそ、深い悲しみをふたりで乗りこえてこそ、夫婦として成長できる気がしていた。



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