【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜
【家族になるためにSide棗】




 「大丈夫か?聖良」

 「はい……。大丈夫……です」

 聖良の妊娠していると知ったあの日。俺はすごく嬉しかった。……自分たちの子供が今、お腹の中にいると知ってから、もっと今まで以上に聖良のことを大切にしていかないとと思った。

 聖良の妊娠が、俺の中で大きな決意を生んだ。お腹の子と聖良、3人で幸せになるため。俺はしっかりと聖良のことを支えていきたい。聖良はこれから母親になるため、一生懸命頑張っていきたいと俺に言ってくれた。

 だからこそ俺は、聖良が元気な赤ちゃんを生めるようにしっかりと支えてあげたい。今妊娠3ヶ月の聖良は、だんだんとつわりがひどくなっている。食べ物さえ、まともに食べれそうにないようだった。

 それもそうだ。炊きたてのご飯のニオイやカレーのニオイ。あまいスイーツのニオイなど。普段いつも何気なく食べれていたあらゆるものを、口に出来ずにいるのだ。今唯一食べれるのは、トマトやグレープフルーツやキウイフルーツなどの酸っぱいものなどだ。



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