【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜
遡ること3ヶ月前のこと。
偽り結婚をすることになった夫、棗(なつめ)との出会いは突然だった。
私はもともととあるホテルで、コンシェルジュとして働いていた。働き始めてから1年弱。コンシェルジュとしての仕事の働き方が大好きで。この仕事なら、ずっと働いていられるかもしれないと。思っていた矢先……。
「ねぇ!聖良(きよら!)」
同期である村岡(むらおか)静音(しずね)が突然大声を出してわたしの所に駆け寄ってきた。
「静音?どうしたの?」
「ねぇ、大変だよ!!」
「何が大変なの?」
「う、うちのホテルが……。うちのホテルが、あの鷺ノ宮(さぎのみや)グループに買収されるんだって……!!」
……え?ええ? う、ウソ……!?
「ええ!?それ本当に!?」
「間違いないよ!さっき鷺ノ宮(さぎのみや)グループの社長が来て。そう話してた!」
「えっ、じゃあわたしたち……。どうなるの?」
「それが……」