【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜



 
 「聖良、グレープフルーツゼリーなら食べられそうか?」

 「あ、はい……。グレープフルーツゼリー、食べたいです」

 グレープフルーツゼリーを冷蔵庫から取り出して見せると、聖良は嬉しそうに笑った。妊娠中は変なものや普段食べない物を食べたくなると聞いたが、本当なんだな……。

 聖良はもともとグレープフルーツがあまり好きではないと聞いたが、妊娠中は嬉しそうに食べるんだよな……。妊娠すると食が変わると聞くから、自然的なことかもしれないが。

 「俺が食べさせてやろうか?」

 「じ、自分で食べれるから、大丈夫です……!」

 聖良は恥ずかしそうにそう言うと、グレープフルーツゼリーを食べ始めた。「酸っぱくて、美味しいです……」なんて言いながら黙々と食べていた。

 聖良がつわりで大変な中でも、俺は仕事が忙しくなってきて、たまに帰りが遅くなってしまうこともあった。なるべく早く帰ろうと思いつつも、なかなかスムーズにいかなくて、結局遅くなってしまう。





 
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