【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜




 棗さんはどうやらそれを察してくれているようで、ニオイの少ない低刺激のシャンプーを買ってきてくれていた。妊婦は人によって個人差があるけど、刺激にも弱い人もいるみたいで。刺激の少なくて、ニオイもかなり少なめのシャンプーを選んでくれていたみたいで……。それを知って、とても嬉しかった。

 「棗さん、あのシャンプー。結構ニオイ少なくて良かったです」

 「本当か?なら良かった。店員に聞いて買ってきたから、どうなのか分からなかったけど。聞いて正解だったな?」
 
 「はい。本当にありがとうございます。…。洗った感じも良かったです。あれなら、ずっと使えそうです」

 「良かった」

 棗さんは頭をぽんと撫でながら優しく微笑んでいた。……その表情を見てわたしは、棗さんもきっと嬉しいんだろうなって思った。

 棗さんの優しさは世界一だなって思った。こんなわたしのために色々なことを調べてくれていた。少しでもわたしが楽になるようにと、わたしはもうありがとうしか言えない。


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