【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜




 棗さんには感謝しかないし、棗さんのためにも。元気な赤ちゃんを生まなきゃ……。そう思った。
 
 「あの……棗さん」

 「ん?」

 「……色々と、ありがとうございます」

 「気にするな。聖良こそ、つわりで辛いのに出迎えてくれてありがとうな?」

 「……はい」

 棗さんがそっと抱きしめてくれて、優しく頭を撫でてくれた。その温もりが本当に温かくて、優しくて。これが夫婦なんだ、これが幸せなんだと何度も実感した。

 早く赤ちゃんを生みたいとそう思っていた。安定期に入るまでまだまだかかるけど、棗さんが支えてくれるからこそ、本気でそう思っていた。

 両親にもまだ妊娠したことを報告していない。妊娠した時点で報告しようと思っていたけれど、安定期に入るまで報告は待とうという棗さんの意見で、まだ報告していない。安定期に入ったらしっかりと報告するつもりだ。

 お母さん、喜んでくれるかな……。お父さんが喜んでくれるかも分からないけど、どうだろうな。
 

 
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