【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜
「ううっ……」
夜中寝ている時、急なつわりに襲われ気持ち悪くなり、吐きそうになってしまう。寝ている時にいつでも使えるようにと、棗さんがエチケット袋を用意してくれていた。気を遣わせてしまっているみたいで、なんだか申し訳なかった。
食べるのはいいけど、結局食べても吐いてしまったりして、吐けるものが何もない。辛くて辛くて仕方なかった。……無性に泣きたくなってしまって、知らない間に涙が出てしまう。堪えたいのに、堪えることが出来ない。
隣で棗さんが寝ているのに。起こしたくないのに……。涙が止まらない。そんなわたしに気付いたのか、棗さんは「聖良、大丈夫か?」そう声をかけてくれて。背中を擦ってくれた。
「な、つめさ……すみ、ません……」
「大丈夫だ。……つわり、辛いだろ?泣きたい時は、遠慮なく泣けばいい。俺がそばにいてやる」
泣いているわたしに、棗さんは優しくそう声をかけてくれた。
「俺はいつでも聖良、君の味方だ。ムリをしなくていい」