【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜
「んふっ……ありがとうございます……」
棗さんは本当に優しい。こんなにも優しくしてもらって、わたしは本当に幸せ者だ。だけど安定期に入ればつわりも治まるだろうし、それまでの辛抱だと思う。だからこそ、頑張りたいという気持ちが強かった。
わたしはこの子のお母さんになるんだ。赤ちゃんと棗さんと3人で、幸せな家庭を作っていくんだ。明るくて元気で、そして笑顔の耐えない家庭を作りたい。心からそう願っている。
「大丈夫か?」
棗さんは優しく背中を擦りながら声をかけてくれた。
「はい。……棗さんのおかげで、少し楽になりました」
「なら良かった。……他に何かしてほしいこととか、あるか?」
「……いえ。大丈夫です。……つわりも治まったので、もう寝ましょう?」
わたしは軽く水を飲んでからベッドの中に入った。そしたら棗さんは、後ろから優しく抱きしめてくれた。
「聖良、俺がそばにいる。……安心して眠るといい」
「……ありがとうございます」