【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜
【新しい出会い】
 



 「棗さん、行ってらっしゃい」
 
 「行ってくる。夕飯は一緒に食べよう」

 「はい。待ってます」

 「じゃあな。パパ行ってくるからな」

 「行ってらっしゃい」

 棗さんが仕事に行くのを見送ってから、わたしは家事を始めた。安定期が過ぎてから経過は順調で、すくすくとお腹の中で育っているわたしたちの赤ちゃん。最近は元気に動いていて、よくお腹を蹴ってくる。

 赤ちゃんが元気だと知れるのが、わたしの一番の元気の源だ。赤ちゃんが元気に動いてくれるから、わたしはいつも嬉しくなるし。もっともっとこの子のために頑張らないとなって思っている。

 「赤ちゃんは、今日も元気ですね」

 バルコニーの花に水をかけながらそんなことを呟いてみる。赤ちゃんが生まれたら、わたしはこの子にたくさんの愛情を注いであげよう。そう思っている。

 わたしたちのもとに生まれてきたことを誇りに思ってもらえるように、一生懸命育てて行きたい。素直で優しくて、思いやりのある子に。




 
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