【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜
「本当だよ。いつも美味しい料理のおかけで、俺はいつも元気がもらえている。ありがとう」
「……はい」
わたしたちはふたりで夕食を食べた後、一緒にお風呂に入った。お風呂の湯船の中で、棗さんは大きくなったわたしのお腹を触りながら赤ちゃんに話しかけていた。
「赤ちゃん、今お腹の中で何してるんだろうな?」
「確かに。何してるんでしょうね?」
赤ちゃんが動く度に嬉しくなって、こんなにも成長しているんだなというのがだんだん分かってきた。こうしているだけで、幸せを感じるのもまた一つの幸せなんだと思う。
「赤ちゃんの鼓動を感じる度に、わたしすごく嬉しくなるんです。ちゃんとお腹の中で生きてるんだなって……」
わたしがそう言うと、棗さんは優しく「聖良も本当に母親になるんだな?」そう言って頬を撫でてくれた。
「……はい。わたしも、自分で本当に母親になるんだなって思ってます」
「俺も早く、父親になりたいよ。……この子を育てる父親に」