【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜




 「……はい。きっと棗さんは、いい父親になると思います。愛情を持って、赤ちゃんを育ててくれると信じていますよ?」

 「ああ。……なぁ、聖良。ちゃんとした父親に、俺はなれるのかな?」

 棗さんは少しだけ寂しそうにそう言った。だからわたしは、棗さんに「棗さんはきっと、ちゃんといい父親になります。わたしたちの子供ですよ?愛情をたっぷり注いであげましょう?」そう言って笑った。

 「……そうだな。俺たちは親になるんだもんな?」

 「はい。わたしたちはこの子が出来た時から、もう親になっています。……ふたりで親になって、ふたりで一緒に、この子の成長を見守っていきましょう」

 わたしたちは親になれる日を待ち望みながら、1日1日を大切に過ごそうと決めた。この子が生まれて、家族になっていく日を楽しみにしているんだ。

 「おやすみ、聖良」

 「おやすみなさい。棗さん」

 わたしたちはベッドの中で手を繋ぎながら、その日の夜は眠りについた。

 
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