【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜



 友香里さんの話を聞いて、ますますそう思った。

 「そうだな。……正直に言うと、俺も男が育休を取ることには賛成だ」

 「そうなんですか?」

 「ああ。赤ちゃんが生まれたらそれで終わりではないだろ?……実際には生まれてからが、俺たちは親としてのスタートになるわけだし」

 「……はい。そうですね」

 棗さんの、言うとおりだ。赤ちゃんが生まれてからがわたしたちは赤ちゃんの親としてスタートする。……棗さんは、わたしたちが親になるその瞬間までのことをしっかりと考えてくれているんだな。

 「俺も本当は、育休を取れたらいいんだが……」

 「い、いえ!そ、そんな……。棗さんにそんなことをさせる訳にはいきません……!」

 棗さんは鷺ノ宮グループを引っ張っていく大事な存在なのだ。棗さんに育休を取らせるなんて絶対にムリだ。そんなことをしたら、仕事が進まなくなるし。大事な商談だって……。

 「育休を取りたいが、ムリだと分かった。……本当にすまない」


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