【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜
助産師さんが赤ちゃんを連れ来てくれた。
「いいん……ですか?」
「もちろんよ。……さ、あなたたちの赤ちゃんよ?」
「はい……。ありがとうございます」
わたしは生まれたばかりの赤ちゃんを、抱いた。ずっしりとしていて、だけど手や足がすごく小さくて……。すごくすごく、可愛かった。
「……可愛い」
「ああ、可愛いな」
棗さんとふたり、赤ちゃんを見つめながら微笑みが止まらなかった。……わたしたちの赤ちゃん。こんなにも可愛いんだな。
「男の子かぁ……。嬉しいな」
「はい。……赤ちゃん、すごく可愛いです」
棗さんにも似てるし、わたしにも似ている気がする。わたしたちの赤ちゃん、ずっと会いたかった。ずっとずっと、この手で抱きしめたかった。……赤ちゃん、わたしたちをパパとママにしてくれてありがとうね?
「……聖良、生んでくれて本当にありがとう。俺は本当に、幸せだよ」
「……はい。わたしも、幸せです」
「ああ。これからは、俺たちは家族だ」