【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜
レストランの駐車場に車を停めた運転手さんは、助手席のドアをどうぞ開けた。そして棗さんはわたしの手を取り、そのままエスコートしてくれた。
「段差がある。気を付けろよ?」
「はい」
手を握られながら歩くと、そのままレストランの入口に入ると、ウェイターさんが待っていた。
「鷺ノ宮様、お待ちしておりました」
「今日はよろしく頼む」
「かしこまりました。ではお席へご案内させて頂きます」
ウェイターさんの後を歩きながら店内を見回すと。店内ではなくその奥の扉へと入った。
戸惑うまま棗さんの後を付いていく。えっ?店内通り過ぎてしまったけど……?
そう思いながら歩くと、その奥にある通路側の扉を開けた。中に入るように促され、中に入ると。そこは、個室になっていて。誰もいない空間になっていた。
「え?ここって……?」
「ここはVIP専用の個室だ。一般の人は入れないようになっている。今日はここで食事をしよう」