【完結】偽り夫婦の夫婦事情〜偽りの愛でも、幸せになれますか?〜
「……そうだったんですね」
だからこんなにも美味しいのか……。
「喜んでもらえたかな?」
「……はい。とても」
「この後の料理も、もっと喜んでもらえると思うよ?」
「それは……楽しみです」
優しく微笑む棗さんの顔を見て、わたしはなんだか心がホッとした気がした。
「お待たせ致しました。前菜のサラダと、真鯛のグリルでございます」
「えっ、すごいっ……」
真鯛のグリルなんて、食べたことない!前菜のサラダも、彩り鮮やかでとても美味しそう。
「な?すごいだろ?この真鯛のグリル、最高なんだ」
「美味しそうです。……こんなの、食べたことないです」
「ならよかった。さ、食べよう」
「はい。いただきます」
わたしは前菜のサラダから食べた。サラダは野菜がシャキシャキで、ドレッシングも程よい酸味があって。とても美味しかった。
「美味しいです。このドレッシング、好きな味です」
「それはよかった」